ACHD診療の流れとACHDチームの役割
今回は、ACHD診療の流れとACHDチームの役割(特に治療介入が必要な病態把握の検査の流れ)について考えたいと思います。
前回も言及しましたが、ACHD診療を、偏りなく、かつスムーズに進めるためには、科やチームを超えた協力が必須です。
ACHD診療で混乱が起こりやすい原因の一つが、どの科が最初の受診の窓口になるのかが(現時点では)不明確であることだと思っています。
例として、幼少期に手術を受けた既往がはっきりしているACHD患者さんは、それまで小児科で診療を受けてきていることが多いと思われ、小児科に受診することが多いと考えられます。
一方、初発急性心不全で判明した高齢者のACHD患者さん(ASDなどの患者さんが多いと思われます)は、成人の心臓内科や心臓血管外科に受診すると考えられます。
また一方で、成人医療への移行期の段階等でフォローアップ中断となってしまったACHD患者さんは小児、成人の科どちらにも受診する可能性があります。
それぞれ内科・外科があり、当院の場合、科として少なくとも4つの窓口があることになります。また、一つの科にもそれぞれ異なる種類の外来があります。
いずれの外来に受診になったとしても最初の受診後からチームや科を超えた連携が必要で、そこで、ACHDチームが役割を担うこととなります。ACHD診療の流れとACHDチームの役割を下図にまとめてみました。
ACHD診療の流れ、特に治療介入が必要な病態把握の検査の流れには、各段階(〈外来/入院〉や〈侵襲度〉)があると考えます。
外来での一般的な初期検査(Primary survey)のあとすぐにACHDチームが加わり、その時点での病態の評価や、次に行うより侵襲度の高い検査(Secondary survey)の計画をします。
カテーテル検査は侵襲度も高く、入院で行う検査のため、それ以前の画像検査や経食道心エコー検査等から予想される病態の最終確認の検査として、最終的な検査であることが多いです。
また、その一歩前の画像検査や経食道心エコー検査も、初期検査で得られた情報から病態と合併疾患を予測し、「何を見るか」により検査の内容が変わってくることから、
これらの検査の計画はスムーズな流れに大きく関与します。外来診療の早期にACHDチームが関与、議論することで、患者さんにもっとも負担が少なく、かつ正確な病態評価を目指せると考えます。
その後、各検査所見から最終的な病態をまとめ、必要な治療を議論することになります。治療後はさらにその後の検討を重ねる必要があることもあります。
今回は主な診療の流れをまとめましたが、まだ十分機能しているとはいえず、今後の課題、「目標」として提示させていただきました。
今後この流れが「あたりまえ」になれれば、また一歩前進できるのではないかと思います。
