心血管病の術前評価は、病態の成因、重症度や緊急性のみならず、手術を含めた周術期のリスクを評価する分野です。循環器内科の典型的な業務といえますが、心臓血管外科の知識がある程度ないと質の高い評価はできません。
心血管病の術前評価は通常別建てされる分野ではありませんが、循環器内科の日常診療ではかなり多くのエネルギーを使っており、元来は最も本質的な仕事です。心臓血管外科の手術症例も多くは循環器内科の初診を通っており、きちんと評価することによって遅滞なく適切な心臓外科手術をセットアップできます。近年注目されているoptimal medical therapy (OMT)やカテーテルによる低侵襲治療も、常に心臓血管外科治療の選択を視野にいれた正しいフラットな術前評価に基づいた適応の判断が必要とされます。
冠動脈疾患の評価はEBMに基づき、バイパス術でより良い長期予後が期待される場合は積極的にバイパス術を依頼しています。術前カテーテル検査では冠動脈の評価だけでなく右心カテーテルの評価を行い、術後収縮性心膜炎になった場合のコントロール値をとっています。弁膜症に関しては、特別な場合を除いて経食道エコーで情報をとって術式に役立てています。感染性心内膜炎(IE)に関しては速やかにリスクを評価して、保存的治療のリスクと天秤にかけながらactive IEであっても積極的に手術を依頼しています。毎週合同カンファレンスで情報共有し、術前症例の要点整理と術後症例のレビューを行っています。緊急症例では心臓血管外科とお互いの緊急用電話等を用いて随時相談し、重症例では人工呼吸器、大動脈バルーンパンピング(IABP)や体外循環管理をしながら、手術に必要な情報を集めています。 心血管以外の内分泌疾患、貧血、自己免疫疾患、ないしはがん等の術前評価も他科に相談しながら行っています。
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