冠動脈疾患 (Coronary Artery Disease: CAD)

[急性冠症候群]

(急性心筋梗塞・不安定狭心症など)

急性冠症候群の一般的な治療

急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome:ACS)はcommon diseaseではあるものの、急激に血行動態が悪化し致死的な状態に陥る可能性のある病態です。ST 上昇型心筋梗塞と非 ST 上昇型急性冠症候群(不安定狭心症を含む)に分類されます。ショックやバイタルサインの破綻があれば可及的速やかなカテーテル治療(Primary PCI)で心筋の血流を回復することが必要です。Primary PCIでは多くのケースで金属でできているステントが植え込まれます。

閉塞性冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症など)では冠動脈内に粥腫(プラーク)が蓄積し、冠動脈の血流が制限されます

重症冠動脈疾患の治療の選択肢:機械的補助

急性期に心機能が著しく低下している場合などは補助循環が必要になります。以前から用いられている補助循環には大動脈内バルーンポンプ(IABP)や経皮的心肺補助装置(VA-ECMO または PCPS)が知られていますが、最近になり心臓に小型モーターを一時的に留置するIMPELLA 補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA、Johnson and Johnson)が使用できるようになりました。これらの治療の目的は、単にバイタルサインの安定化を確保するだけでなく、心負荷を軽減して早い回復を促すという狙いもあります。

当院では急性期積極的にIMPELLA CPを導入し、離脱が困難な場合は心臓外科チームと協議してより多くの流量補助が可能で、歩行リハビリテーションができるIMPELLA 5.5への変更(escalation)を行っています。

IMPELLA 補助循環用ポンプカテーテル挿入