肺高血圧 (Pulmonary Hypertension: PH)

[肺高血圧]

(肺動脈性肺高血圧・CTEPHなど)

肺高血圧とは

肺高血圧症(Pulmonary hypertension:PH)とは肺動脈圧の血管抵抗が上昇する病気です。軽症では息切れのみ、重症では右室に負担がかかり、呼吸困難、失神、ショックなどの症状を呈します。現在本邦では、「右心カテーテル検査を用いて実測した肺動脈圧の平均値が25 mmHg以上の場合」と定義されており、原因により以下の5群に分かれます。

  • 第1群:肺動脈性肺高血圧
  • 第2群:左心性疾患に伴う肺高血圧症
  • 第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
  • 第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
  • 第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症

肺高血圧の診断の流れ

肺高血圧症が疑われる症状、病歴や身体所見がある場合、当院では以下の流れで検査を進めています。

  • 心エコー図や心電図⇒肺高血圧症の可能性があるか?
  • 呼吸機能検査や肺CT⇒肺疾患由来か?
  • 換気-血流シンチ⇒CTEPHパターンではないか?
  • 右心カテーテル検査⇒肺動脈圧と血管抵抗でPHの診断
    • 酸素や薬物に対するPVRの変化を確認
    • CTEPHの疑いがあれば肺動脈造影検査
    • 門脈圧亢進症にともなうPHの疑いがあれば肝静脈楔入圧と下大静脈圧差の測定
    • 先天性心疾患の場合は心内酸素飽和度測定など

自己免疫疾患がある場合は埼玉医科大学本院のリウマチ・膠原病内科と一緒に診療を進めています。

肺高血圧の特徴的な所見は
右心負荷や肺動脈拡張です

肺高血圧の治療

肺高血圧症には薬物治療と非薬物治療があります。薬物治療には以下のようなものがあります。

CTEPHとは慢性血栓塞性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension)の略であり、肺血管内に血栓が形成され慢性化した状態です。治療法には、薬物療法、また中枢型では外科的な手術(肺動脈内膜剥離術)があります。当院では末梢型では埼玉県立循環器呼吸器病センターのBPA指導医のもとで修業を積んで経皮的肺動脈形成術(Balloon pulmonary angioplasty:BPA)を行えるようになりました。

CTEPHではカテーテル治療(BPA)により
息切れや呼吸困難が緩和されます